Overview
建物概要
国登録有形文化財(建造物)
旧市川家住宅主屋
旧市川家住宅は、野方村の庄屋も務めた市川藤蔵家の住宅です。
家伝の文書によれば、同家は明和6(1769)年に分家独立して現在地に屋敷を構えたとされ、現状は文書に記された屋敷の変遷とよく合致します。
主屋(しゅおく)は、この分家独立時に植田村(名古屋市天白区)の庄屋宅を移築されたものと伝え、平成26(2014)年度に実施された改修整備工事で宝永6年(1709)の年記がある墨書が発見されました。
建造年代が明らかで、土間境の柱を含めた上屋柱四本を梁でつなぐ当地方でかつてよく見られた「四つ建て(鳥居建て)」形式が成立する過程を知る上で貴重な事例です。
主屋は、平成25(2013)年12月24日に、国登録有形文化財として登録されました。
飯田街道(現在の県道58号)からみた
旧市川家住宅 戦前
国登録有形文化財とは?
国登録有形文化財とは、文化財登録制度に基づき、日本国によって文化財登録原簿に登録された有形文化財のことです。
登録番号 第23-0393号
所在場所 | 〒470-0123 愛知県日進市野方町東島384番地 |
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構造・形式 | 木造、平屋建、入母屋造、平入、茅葺(表面鋼板張り)、四面に桟瓦葺き下ろし |
平面規模 | 桁行10間 梁間5間 |
登録年月日 | 平成25(2013)年12月24日 |
Bokusho&Ezu
墨書・絵図
旧市川家住宅主屋は、現位置に築造されてからおよそ250年の歴史を有し、
間取りなどの数段階の変遷があったと
推定されています。
これらの変遷は、部材の新旧や墨書、古絵図などの資料によって裏付けられています。
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建物図
裏面に嘉永年中四代目製図、
大正三年(1914)五代目修繕の注記 -
扉の裏側の墨書
天保八酉三月廾九日四代目主人□之
(天保8年は1837年) -
床の間の部材裏の墨書
寶永六丑ノ年
(寶(宝)永6年は1709年)
Timeline
市川藤蔵家年表
1732年 亨保17年 |
市川與茂助生まれる (初代市川藤蔵) |
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1741年 寛保元年 |
與茂助の父市川藤助亡くなる |
1755年 宝暦5年 |
與茂助の子、與々吉が生まれる (2代市川藤蔵) |
1759年 宝暦9年 |
與茂助亡くなる 與茂助の子、與々吉はこの時5歳のため、 本家である市川藤助家は三男が継ぎ、 與々吉は母方の実家市川清右衛門家で 育てられる |
1769年 明和6年 |
15歳になった與々吉は藤蔵と改名、 市川藤助家から分家 現在地に居宅を構え、市川藤蔵家を作る |
1778年 安永7年 |
2代藤蔵の子、吉治郎(徳右衛門)が生まれる (3代市川藤蔵) |
1796年 寛政8年 |
2代藤蔵、庄屋に任命される |
1799年 寛政11年 |
與々吉(2代藤蔵)亡くなる 吉治郎が藤蔵を名乗る |
1801年 享和元年 |
3代藤蔵の子、増吉が生まれる (市川藤蔵家4代目) |
1802年 享和2年 |
中の蔵を建てる |
1814年 文化11年 |
増吉、門長屋にて店を出し、萬木綿商を行う |
1829年 文政12年 |
東の蔵を建てる |
1831年 天保2年 |
四日市日永村の田中利右衛門と取引を行う この頃木綿問屋を営む |
1833年 天保4年 |
四日市日永村の松岡惣八と取引を行う |
1838年 天保9年 |
江戸城西丸再建資金として 尾張藩へ10両を納める |
1845年 弘化2年 |
3代市川藤蔵(吉治郎・徳右衛門)亡くなる |
1851年 嘉永4年 |
増吉の子、松三郎生まれる (市川藤蔵家5代目) |
1854年 嘉永7年 |
増吉亡くなる 松三郎4歳であったが、 残った家族が家業を維持 |
1867年 慶応3年 |
松三郎、庄屋に任命される |
1878年 明治11年 |
松三郎の子、廣一生まれる (市川藤蔵家6代目) |
1891年 明治24年 |
濃尾地震が起こり、市川家も被害を受ける |
1893年 明治26年 |
西の蔵を建てる |
1908年 明治41年 |
廣一の子、大作生まれる (市川藤蔵家7代目) |
1918年 大正7年 |
裏の座敷を建てる |
1929年 昭和4年 |
松三郎亡くなる |
1931年 昭和6年 |
飯田街道拡張工事に伴い、門長屋を改造 門長屋に連なる形で座敷を建てる |
1950年 昭和25年 |
中の蔵を取り壊す |
1966年 昭和41年 |
廣一亡くなる |
2012年 平成24年 |
11月 日進市に寄贈 |
2013年 平成25年 |
12月24日 国登録有形文化財に登録される |
2014年 平成26年 |
8月 改修工事始まる |
2015年 平成27年 |
6月 一般公開開始 |
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